私こと、亜島 宗一郎は、家族に不満を感じている。

 いやまあ、こんな家族だから、まともなことを望むのはどうかと思うのだが、それでももうちょっとましな会話、とかない物だろうか。
 家族らしい会話というか、会話らしい会話も無い。
 強いて言えば、少し朝の弱い私を起こしに来る息子が、踵落しで目覚めさせたり、出来ている朝食は美味いのだが冷めている上、食卓には誰もいない……と、 せめてそういうことの無い家族が良いですッ!
「ああ……っ、誰か私に祝福を……っ」
 無神論者だが、とりあえず祈ってみる。
「朝から何言ってるの」
「おおっ、結花! 聞いてくれ、父さんはちょっとこー、家族らしいことがしたいのだ!」
 どてらを着て、長い髪の毛を三つ編みで纏めている、分厚い丸い眼鏡をかけた女の子。
 我が家の長女だったりする。
 そういえばここのところ、結花のちゃんとした格好を見たことが無い。
 ちなみに大学受験二浪中。
「うん。わかった。家族同士の会話のキャッチボールでもすれば良いのよね。大学受かったらしてあげるから、とりあえず私の朝ご飯」
「……この間不合格で落ちたんだから、合格した時と言うと、来年になるんですが、如何ですかその辺り」
「あんまり思い出させないでよ」
 結花大きく溜息を吐き、落ちた重たいめがねを指で引き上げる。
「で、朝ご飯は」
「……さ、さあ、私がここにきた時には一人分しかなかったからな」
 もう食べ終えた朝食の食器を見下ろす。
 息子、勇治は料理が上手い。家事担当である。その辺りは父親の私から見ても自慢だったりする。
 だが、ちょっと、いや、かなり……無愛想である。
「ねえ、父さん」
「なんだ?」
 ゆっくりと結花は、空の食器を指差す。
「それ、私の」
 確かに、よく見ないと分からないのだが、その御飯茶碗は結花の物……。
「…………すみません。つか、私のはー!? 勇治ーーー!」


 第一話 歪な家族に居候


 これでも、大学の教授などをしている私である。
 生徒の人望は、……まあ、普通くらい。
 相談毎には良く乗るけれど、余り解決らしい解決策を与えられないことに、最近多少悩んでいる二十八歳だ。
 それでも相談に来る生徒は意外に多い。これも一つの誇り。
 今日も一日、頑張って授業をこなし、自分の研究所にて一休みする。
 家に帰れば夕食は出来ているだろうが、きっと食卓には誰もいない。
 たまには一家揃って御飯を食べたいと思うのだが、どうにも勇治は避けているし、結花は勉強勉強と部屋に篭もる。
 頑張るのは良いのだが、たまには団欒があっても良いじゃないか。
 お父さんは寂しいんだぞー、と心の中で嘆いてみる。
 その嘆きが外に出ていたのか、同じ研究室を使っている向かいの、昴日叢花 (すばるび そうか) さんが怪訝な顔をこちらに向けていた。
「亜島先生、お疲れなんですか?」
 栗色の短い髪をした、私より何歳か年下の彼女は、可愛い笑顔で問うてきた。
「少し家族の事で痛烈に悩んでいる所です」
 私が正直に言うと、あらまあ、と口に手を当てて驚く。
「帰りが遅いとか、不良になっちゃったりとか?」
「そういうんじゃないんです。ただ、息子の方と会話が無いと言いますか」
「亜島先生の所の息子さん、あと、娘さんと言えば……お幾つでしたっけ? 小学校位でしたか?」
 まあ、まともな思考で考えればそれくらいの年齢が出てくるだろう。
 だけど、家の場合はちょっと違う。複雑怪奇な事情……というほどでもないけど、普通の家庭よりも複雑だった。
「……高校一年の息子と、二浪中の娘が一人」
 昴日先生は、何度か目を瞬かせて驚く。彼女に私の家の子供のことを話したことはなかったから、当然と言えば当然の反応。
「失礼ですけど、亜島先生って、お幾つでしたっけ……? 歳のことばかり聞くのは失礼ですけど……」 
「二十八です」
「…………ですよね、前にも聞いた覚えがありますし。それで、息子さんは、十五・六……ですよね。娘さんは……」
「十九です」
「……大学受験なのですね。では……実の子供さんじゃ、」
「……、お察しのとおり、血は繋がってません」
 私の複雑そうな家庭事情を聞いて、困った顔をする。
 大抵の人はこんな顔をする。
 この後、露骨に話題を避けるか、拒否反応を示す人、好機の目を向ける人や、逃げるように笑う人。其々だが、大体もう慣れた。
「そうなのですか。それだと、大変ですよね。血が繋がってないのに、家族だと言うの、難しいですよね」
 …………。
「それに、年齢的に少し難しい時期ですし。無理に会話を求めるよりも、頼られた時にいつでも、どーんとしていられるお父さんで居た方が良いんじゃないで しょうか? まあ、知ったかぶりなので、この程度しかいえませんけど……亜島先生?」
「あ、ああ……その、ありがとうございます。なんか今までに無い対応だった物で、対処に困りました」 
「其々複雑な事情があるんです。多分、私なんかには想像も出来ないほど、亜島先生は悩んでいらっしゃる。凄い事だと思いますよ」
「凄いこと、とまで言いますか。なんか、まともに出来ていないのに、凄いと言われるのは気恥ずかしいと言いますか、気後れすると言いますか……」
「あははっ、でもご無理なさらないで下さいね。最近顔色、余り良くありませんよ?」
「そうですかね? 余り分からないんですが」
 ぺたぺたと自分の顔をさすってみるが、その辺りは全然分からなかった。
「亜島先生は、生徒に慕われている、良い先生なんですから。きっとお二人とも、先生のことがお好きですよ」
「だと、いいですが」
 そう言われてもやっぱり納得が出来ない私だった。
「それにしても昴日先生は、どちらかと言うと大学の教師より、小学校の先生か、保母さんとか似合いそうですよね」
「あ、分かります? 始めはそのつもりだったんですが、研究に熱中している間に、何時の間にか大学教授になっちゃってましたよー」
 ばかですよねー、と頭を掻きながら笑う彼女。
 この同じ部屋を使い始めてから早一年経つが、正直彼女は優秀だった。
 彼女なら、小学、中学、高校、何処でだってやっていけそうな先生だろう。
 二人で先生、先生、と呼び合っているが、揃って教授である。
 先生と呼び合う理由は、単にその方がしっくり来たからだった。
 それにしても溜息が出る。
 なんとも自分の不甲斐なさに。
「お疲れなら、もうお帰りになったほうが良いですよ? 鍵なら閉めておきますし」
「……んー、どうしましょうか」
「早く帰ってあげるのも良いかもしれませんよ?」
 そうかも。
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいますよ」
 私はカバンに必要な物だけを詰めて、帰ることにした。
「お疲れ様です。また来週に」
「ええ、お疲れ様でしたー」
 元気よく手を振る昴日先生に多少元気つけられ、私は帰路についたのだった。
 生憎の曇り空、私の心の内を表しているようだった……。

        ●

 晩御飯は勇治が作る。故に、商店街で勇治を見つけても可笑しくないといえば可笑しくない。
「勇治」
 声をかけると、振り返って少し睨みつけるだけで、溜息をついて歩き始める。
 私はその横を歩いて、なんと話し掛けようか考える。
「今日は、どうだった?」
「別に。滞りなく終った」
「授業、大変じゃないか? 多少なら教えられるが」
 と言ってみたのだが、勇治の成績は実はかなり優秀な物なので、私が教えられるような所は無い。
 故に無駄な発言だったか、勇治は返答も寄越さずに歩いている。
「今晩は、何にするんだ?」
 そう言ってビニル袋を覗いてみるが、料理などトンとしない私から見れば、何が出来るか分からない材料が満載されていた。
「明日は、家にいるのか?」
 明日から土日の二連休。当然勇治は休みである。
 結花は年がら年中休みだが。
 全く返答しない勇治。
 やはり、寂しい物があった。
 家までの道のりをゆっくり歩く。
 鼻先に感じる水滴。
「……ん? 雨か」
 まだ家までは距離があり、少し急いだ方が良いと、歩みを速めたとき、急に激しく雨が降り始めてきた。
「うわ!?」
 とりあえず、勇治が駆け込んだ場所に、私も逃げ込む。
 ビニル袋を胸に抱えて、どうするか考えている。
 夏じゃないんだから、夕立みたいな雨はやめて欲しい物である……。
「勇治、傘は?」
「見たら分かるだろ」 
 持ってないと言うことか。
「アンタも持ってないじゃないか」
 ふふふ、父を甘く見るな。
 私はカバンの中から、放り込んでいる傘を取り出した。
 その傘を見た途端、勇治の顔が歪んだような気がした。
 一瞬、自分の“失態”に気が付いたが、私はそれを誤魔化すように叫ぶ。
「どうだ!」
「……ふーん。じゃあ、先に帰れよ」
「何を言っている。一緒に入って帰るに決まってるだろう?」
「男と相傘なんていやだね。お断りだ」
「父と息子なんだ、何を恥ずかしかることが有ろうか!?」
「付き合ってられん。良いから先に帰れ」
「どーしてもいやか?」
「ああ。お断りだ」
「……わかった」
 やっと理解したか、という顔つきで勇治は俺を見送るような目つきをした。
「じゃあ、私は先に帰る」
 好きにしろ、ともう既に私のほうを向いていない勇治。
 私は手に持っていた傘を勇治の持っているビニル袋の中に放り込み、カバンを頭に掲げて走り始める。
「お、おい! まてよ!」
 ふっ、父を甘く見たな! 息子だけ濡らして、父が濡れずに帰れるとでも思ったかーー!
 とまあ、とりあえず心の中で勝利を誇りながら、私は全力で雨の中を疾走した。
「くっ、やけに激しい雨だな……」
 一時撤退。とりあえず近くの公園のトイレに駆け込んだ。
 うまい具合に中にまで入らずに、コンクリートの屋根がある場所があったのだ。
「ふう……困ったもんだ」  
 濡れ鼠な体を見下ろす。帰ったら速攻で風呂に入りたいが、どうせ沸いていないだろうなぁ……。
 見た感じ夕立見たいな物の様だが、まだ一向に止む気配が訪れない。
「勇治は家に着いたかな。傘、使っただろうか」
 使えないかもしれない。 
 私は溜息をついた。何ならコンビニでビニル傘を買っても良かったのだ。何を意地になって無理やり交流しようとしているのか。
 先ほど昴日先生が言っていた言葉を、私は思い切り聞いていなかったみたいだ。
 本当に、不自然な父親をしている。不器用といっても良いだろう。
 あの傘は、子鈴さんの物だから、余計に扱い辛いはずだ。
 私は、自分の無神経さを恥じた。 
 子鈴さんはどうやって二人と仲良くなったのかなぁ。こういうとき、本当に、彼女が生きていて欲しかったと思う。
 私が始めて彼女とであった時、結花も勇治も子鈴さんと仲良く過ごしていた。三人、本当に仲良く。
 子鈴さんにとっても、あの二人は自分の子供ですらないと言うのに。
 本当、どんな魔法を使ったんだろう。
 私はこれからどうすれば良い?
 子鈴さん。
 思考に走っていた私の前を、一人の少女が歩いていた。
 その背中にはパンパンになっている大きな登山用のバックが背負われている。その少女より、間違いなくカバンの方が大きかった。
 この雨の中、傘もささないで、公園を横切ろうとしていた。
 足がふらふらしており――――、危ないッ!
「きゃぶッ!」
 公園に良くある、タイヤの半分の地面に埋めている奴に足を取られ、くるくる回り、バランスを崩して後ろからこけた。
「うーあーっ」
 亀のようだった。
 甲羅が大きすぎてひっくり返ることも出来ず、四肢をばたつかせて暴れる。
 ……力尽きた。
「おお……っ」
 観賞していてどうする。
 私は急ぎ走り寄り、雨の中呆然と、もう死ぬのかな、私、死ぬのかな、と悲しげに呟いて、色々絶望している彼女をトイレの前まで連れて行った。
 余りにもリュックが重いため、ヒコズルことになったが……。
 屋根の下まで避難し、お腹についているリュックの留め金を外してやる。だが動く気配が無い。
「……おぉーい」
「はぃー……、なにかなー」
「起き上がれる?」

 ぐきゅるるるるぅー……。
「むりそーだなー。おかーさーん、おとーさーん、まってー」
 どこか遠い世界に語りかけるように言う少女。困った、臨死体験をしているかもしれない。
 とりあえずリュックから腕を引き抜いてやる。その身体はやたらと冷たい。長い間雨にさらされたことと、空腹のために体温が低下しているのかもしれない。
 大変だ。公園で遭難するように死ぬかもしれない。 
 登山用のリュックだから、それはそれで様になっているような気がするので、このまま放置の方向で?
「って、バカか、私は」
 とりあえずリュックを普通とは逆に身体に付け、少女は背中に背負った。
「変なものを拾ったなぁ……」
 大きく溜息を一つ吐いて、私は家に向かって全力疾走を始めたのだった。

        ●

「ぜーはーっ、ぜーはーっ……た、ただいま……」
 返事は誰も返してこない。なんとも、寂しい物だ。
 玄関の下駄箱の上に、先ほど勇治に渡した折り畳みの傘が置いてある。濡れていない所を見ると、やはり使わなかったのだろう。
「父さんもか。今勇治が入ってるよ、直ぐに開くと思うから直ぐ入ると良い」
 風呂のことか。結花がそれだけ伝えると、さっさと二階に上がろうとするが、濡れている意外に変なものを見たのだろう、不思議そうに振り替えった。
「なに? 誘拐?」
「違う。公園で倒れていたんだ。そのまま放置するのも目覚めが悪いしな。なあ、何が食べる物出来ているか?」
「ううん。勇治も帰ってきて風呂沸かしただけだから。父さんが入っている間に何か作るんじゃないかな」
「そうか……。この子もお風呂に入れてやりたいんだが、目覚める様子が無い。というか、助けてくれ頼む」
「…………仕方ないわね。とりあえずリュック降ろしなよ。女の子はこっち、リビングに」
「あいよ」
 バスタイルを二枚フローリングの上に並べてその上に降ろすように指差した。
「よういっしょっと……流石に重かった……」
「女の子に重いというのはどうかと思うよ。っと、勇治が出たようだね。入ってくると良いよ」
「結花は入ったのか?」
「入ったよ。だから……ああ、そのままでいいから」
 つまり保温は消さないでそのままで、という事なのだろう。
 あ、そうか、その子が入るかもしれないからな……。
 私は風呂場に向かう。その途中、すれ違い様に勇治が、
「傘、下駄箱の上だ。使ってないから干す必要は無いからな」
「ああ、見たよ」
 どうして使わなかったのか? そう聞きたかったが、追求しても返事はしないだろう。無理に会話することも無い、私は風呂場に向かった。
 軽く身体を洗って湯船に身体を浸ける。
 そして耳を澄ますと、外から声が聞こえる。
『ああ、良いから私がやっておく。というか、勇治、早く御飯作ってよ』
『分かってるが、何だそれ』
『見ての通り、人間よ』
『見たら分かるよ、誘拐か? あいつ、とうとうそういうことし始めたのか?』
 私はどういう目で見られているんだろうか……。
『バカ? あの人がそんな事するわけ無いでしょうが』
 ……最も初めに誘拐? と聞いたのは結花だった気がします。
『精々万引き程度よ』
 フォローのつもりなんだろーか……。私はこめかみを押さえたくなった。やっぱ嫌われてる、のかな。私は。
 というか、二人とも丸聞こえだという事に気が付かないのだろうか。
 まあ、私の耳が良すぎるのだが。
 自慢じゃないが、私の耳はとても良い。だから、この家の端で話したことを、正反対の端で聞き取ることも出来る。
 何時もは集中しないのだが、今日は何と無く気になった。
 連れて帰った少女のことで、何か変わったことが起こるかもしれない。
 そのことに期待して……。
『あ、暖かいもの入れてよ。この子、身体冷え切ってるよ』  
『分かった』
 たまに思うのだが、勇治は凄く聞き分けの良い子だ。結花に対して……いや、もっと正確に言えば、私以外の人間に対して……だ。
 後は足音だけが響いて、其々てきぱきと動いているようだ。
 あの子のこともある、早く出た方が良いと、私は暖まった身体だけで満足して外に出た。
 私の部屋……というか、書斎は一階の、バスルームの前にあるのだ利点だ。そのままの格好で駆け込める。
 だが、前に一度それで鉢合わせ、などという事があって以来、一応バスタオルは巻きつけることにしていた。
 ……まあ、当然だよな。

 部屋に戻り服を着替えて外に出ると、まだ倒れている少女がいた。
 軽く拭かれて、結花が起こそうと頬をぺちぺちと叩いている。
「どうだ?」
「だめね。全然起きない」
「……やばいのか?」
「ううん。どっちかというと、熟睡してるかな」
 会話しているうちに、無言で勇治がリビングのテーブルにすき焼きなどの準備を始めた。
 小皿を二人分準備した後、ふらりと、どこかへ行ってしまう。
 つまり、勝手に食え、という事なのだ。
「……、たまには一緒に食おう、って言う暇すらなかったな」
 そう呟くと、結花は溜息をついて立ち上がる。
「すき焼きかー」
 どてらから袖をにょきにょきと生やして、椅子に座って嬉しそうに手を合わせた。
 結花は勇治が一緒に食べないことを気にしていないのだろうか。
 私も食べようかと、立ち上がると、背後の気配が急に動いた。
 振り返ると、上半身だけ起き上がらせた少女が、目を輝かせてこちら……いや、正確にはテーブルの上の物体に向けられていた。
 ほやほやと嬉しそうな顔付きで、にじり寄ってくる。
「すき焼きだぁ……」
「ああ、すき焼きだ」
「すき焼きね?」
 小さく呟いた少女に、私と結花が続ける。
「た、食べるか?」
 今にもヨダレをたらしそうな、お預けを喰らった犬の様な顔でジッとしている少女に言ってみると、弾ける様にこちらに向いて、バカみたいに顔を上下に振っ た。  
 ここでやっぱだめ、といえば暴れ出しそうで恐いほど、目が血走っている。
「で、でも良いんですか?」
 どうやら遠慮と言う人として最低限必要な理性は残っていたようだ。
「かまわないよ、私はそれほどお腹は空いていないし」
 と言うと、猛獣は解き放たれて、椅子の上に座って箸を手に持って、いただきます。
 すき焼きの虐殺に取り掛かった。
 遠慮もクソも無い高速虐殺。結花はその横で、ゆっくりのんびり、肉やら野菜やらを楽しんでいる。
「父さんも物好きだね。とっくに知ってたけど」
「……悪い」
「私は気にしないで良いよ。ここの家主は父さんなんだし。別に誰をつれこもうが」
 結花の言葉に、何故か攻められている気がした。声は軽いのに、なんだか刺すような言葉だった。
「……この分だと残りそうに無いから、勇治に追加でも頼んでおく?」
「いや、いい。私が追加しておくよ。材料も無ければ買ってきておく」
「そか。……さて、ご馳走さま」
「もう良いのか、結花」
「ん。その子にあげて」
 小さく行って、結花は部屋に戻っていった。
 まだ軽く濡れている少女は、一心不乱にすき焼きを突きまくっている。
 その箸が、はた、と止まる。
「ご、ごめん! 一週間ぶりの食事だったんで……っ!」
 ようやく人の心を取り戻した彼女は、情けない顔付きで謝ってきた。
「いや、別に良いけど。余り急に食べると、胃がビックリすると思うぞ?」
「そ、そうですよね!」
 顔を真っ赤にして、落ち着こう落ち着こうと深呼吸を始める。
 そして、落ち着いたように見せかけて、急に顔を弾けるように上げる。
「リュックはどこですか!?」
「ああ、玄関に置いてある。重いな、何が入っているんだ?」
「私の全部ですよ……。よかった。ありがとうございます。その、なんて言えば良いのか……、こんなに色々してもらって」
 全部……と言うのはどういう意味なのだろう。もしかして家出している途中だとか? 
 下手に追求すると悪いかもしれないと、とりあえず私は彼女濡れた身体の方を気にした。
「いいよ。気にしないで。そうそう、食べ終えたら少し時間を開けて、お風呂に入る良いよ。着替えはある?」
「あ、はい、リュックの……中、に」
 小さくなる言葉。
「あの中だと、濡れてるよね。風呂場に乾燥機があるから使うと良いよ」
「はい……。何から何まですみません……」
 箸と茶碗を置いて手を合わせる少女。
「もう良いのかい?」 
「えっと、……はい。こんなに食べておいて、こんなこと今頃遅いですけど、悪いですし、お兄さんも食べてないですよね?」
 お兄さん? と、私は自分の顔を指差してみる。
 少女は頷く。
 お兄さんかー。いや、なんか最近ふけたとか言われて、おじさんとか言われることがあるのに、嬉しい物だ。
 ということで、気前の良い私は、
「全部食べても良いよ。後で追加するからさ」
 と言ってみた。
 少女は嬉しそうに笑う寸前、で顔を硬直させて首をブンブンと振る。
「だ、駄目ですっ、ここまでしていただいた上……ましてや全部頂くことなんて……できませんっ」
「良いって、気にしないで良いよ」
 頭を撫でてやると、顔を真っ赤にした後、では、とやはり食べ始めた。
 よほどお腹が空いていたのだろう、彼女の胃袋は底なしなのか、一瞬ですき焼きを平らげてしまった。
「じゃあ、そのストーブの前でジッとして、三十分ほど休憩したらお風呂は行っておいで。ああ、今のうちに乾燥機に服を入れておくのも良いね」
「あ、……、その、ありがとうございます」
 深々と頭を下げて、玄関の方へ向かう。
 がさごそとした後、戻ってきて少女は頭を下げた。
「何から何までありがとうございます」
「いやいや。それより身体の調子が悪いとか無いかい?」
「あ、はいっ、問題ありません! で、でも、その、お礼とか何もできなくて」
 ああ、そんなことを気にしているのか。律儀な子なんだな。
 身長は低い方だろう。クリクリとした丸い目は、上目使いで何かを言うだけで、相手を篭絡できるだろう。
 年のころなら……中学生か、ギリギリ高校生だろうかな。
「でも、君みたいな子が、どうして雨の中歩いていたのかな?」 
 聞くのは止めておこうか、と思ったのだが、それでも一応大学教授であり、大人であるからして、聞いておく必要がある。 
「学校とか、あるだろう?」
「……あ、ああえっと、学校は行ってません」
「なんだって? 中学なら義務教育だろう? 高校でも、ほら、ちゃんと行かないと」
 少女は困った顔で笑い、
「私、二十五歳ですので」

 …………――――、なんか特殊な言葉を聞いた。

「もう一度聞いて良い?」 
「二十五歳です。見ても分からないでしょうけど……。というか、納得してくれた人はいません!」
 無い胸を張って自慢げに言う。自慢にはなりそうに無かったのだが。
 そして、ずぶ濡れになっていたリュックから中身をあさって、車の免許をこちらに見せ付けた。
「これです」
 林咲 綾乃 (りんざき あやの)
 生年月日。
 確かに二十五歳だった。
 だが、この身体でアクセルやらブレーキやらを踏めるのだろうか。
「踏めます!」
「いや、何にも言ってないですから私」
「前がギリギリですけど!」
「其処まで考えてないんで……。でもまあ、分かりました。子供じゃないんですね」
 取り合えず相手も大人だ、敬語に変更して語りかける。
「さっきのままで良いですよ?」
「いえ、失礼ですしね。ではまあ、行く当てとかも有るんですよね?」
 二十五歳だ。無作為に家出とか、旅とかしているんじゃないだろう。
 何か理由があって、リュックを担いでどこかへ向かっていたのだ。
「行く当てのない旅などを」
 …………、ちょっと日本の危機を感じました。
 二十五なのだから、もうちょっとましな大人になろうよ、皆……。
「あっはっは……、この町に着てから路銀が尽きちゃいまして、空腹で餓死寸前で、もしかしたら凍死していたかもしれませんねっ! でも、そんな所助けてい ただいて、本当に感謝しています」
 ぺこりと頭を下げる。
「気にしないで良いです―――」
 指を私の唇の辺りに持っていって、
「口調はやっぱり、先ほどのほうが好きです」
 きっぱりと言ってきた。
 ふむ……まあ、彼女が言うのだからそうしよう。
 さて、時間もそろそろ良い感じ。お腹もこなれてきただろうから、もうお風呂に入っても問題ないだろうな。
「じゃあまあ、とりあえず、お風呂へ入ってくると良いよ」
「え? ああ、……そうでしたね。お言葉に甘えます」
 少女……もとい、彼女は、大きなリュックを担いで、バスルームへ向かった。
「さてと、私はすき焼きの材料をもう一度買いに行こうか」
 これでも一応、すき焼きに何が入っているか位は分かる。
 という事で、サイフを片手に玄関へ。
「なあ、」
 呼び止められて振り返る。
 珍しく勇治が向こうから話し掛けてきた。
「なんだ?」
 笑って聞き返した。
「すき焼きの材料ならまだある。買いに行かなくても良い」
 それだけいってさっさとリビングへ。鍋を両手で掴んでキッチンへ向かい、
「食べるんだろ」
 そう言ってこちらを向いている。
 珍しく気を使ってくれる勇治に、私はとてつもない嬉しさを感じていた。
 いやもう、凄い笑みを浮かべているだろう私を見て、勇治は怪訝そうな顔をして引く。
「どうなんだよ」
「あ、ああ……、頂こう」
 私もキッチンヘ向かった。

        ●

 食事も終えて、テレビのニュースを見ながらマッタリとしていた。
 勇治もニュースを同じく見ている。これは珍しくない。何故か勇治はニュースだけは見るのだ。終れば部屋に戻ってしまう。
 束の間の共有時間。と言っても結花は勉強だといって引っ込んで絶対出てこないが。
「なあ、勇治。将来とか、どうするか決めてるか?」
「……アンタに迷惑掛けないよう、高校卒業したら直ぐに就職して家を出て行くよ」
 キッパリ言われた。
「迷惑じゃない。勇治、大学へ行っても良いんだぞ? 結花だってそうしようとしているしさ」
 相変わらず最低限のことを言うだけで、一切返答はしない。
 会話が成立するのは、始めの一言に対する返答のみだったりすることが多い。それさえ言えば、自分の明確なる意思を伝えれば、他は全て拒否をする。
 もう決めているんだ、アンタは関係ない。そう言われている様な気がする。
「……確かに私たちは他人だ。血も繋がっていない他人だ。だけど、私は勇治や結花の父親でありたいと、常に願っている。だから、迷惑だとか考えなくて良い んだ」
 勇治はテレビから目線を外さず、黙ったままだ。
「……子鈴さんとだって、仲良くしていたじゃないか。何で私とは、そうあってくれないんだ……?」
「子鈴とアンタじゃ、全然違うだろうが!」
 不意に激怒して振り返った勇治。
 部屋というか、家全体に響く声で言い放つ。
 ……やばいな、逆鱗に触れたようだ。
 すまない。
 私は心の中で謝る。
 甘んじて聞こう。
 そう思っていた私の意に反して、勇治は黙って立ち上がって部屋を出て行った。
「……はぁ、全く持って、私はどうすれば良いんだろう」
 ソファーの背もたれに完全に力を抜いてもたれ、倒れた顔が天井を見つめる。
 何が一番良いんだろうな。
「子鈴さん、というのは、誰なんでしょう?」
 ひょいっと、私の視界を少女の顔が埋めた。
「うわっ。って、林咲さんか」
「綾乃で良いですよ。お風呂ありがとうございました。久しぶりなのでちょっと長々と入っちゃって……」
「いや良いよ。ちゃんとあったまった?」
 もう既にちゃんと服を着替えて、髪も乾かしているようだった。
「色々お世話になりましたし。助けになるかどうか分かりませんけど、相談に乗りますよ?」
「……いや、良いよ。それより、えっと、綾乃さん」
 名前で呼ぶと嬉しそうな顔をする。
「行く当てがないならどうします? 家は部屋、一つ開いてたりするから、泊まっても良いですよ」
「ホントですかっ!? ……って、駄目駄目駄目です、其処までお世話になるつもりは無いですし。お風呂上がったら、お礼言って、どうしようかとか、出て行 こうかと思ってましたから。その、お礼なんてこんな物しかないですけど」
 もう渡す準備をしていたのか、彼女は懐からハンカチに包まれた小さなブローチを取り出した。
 小振りな青い宝石が填まった、綺麗な装飾のブローチだった。
「そんなのは良いよ。こっちはそんな事してもらう為に連れて帰ったわけじゃないし。単に気まぐれだから」
「そんなっ、お礼はちゃんと貰ってもらいます! ただでここまでしてもらうわけには行きませんし」
「大事な物でしょ、それ」
 私はブローチを綾乃さんの手から取って近くで見てみる。
 小さな傷などがちらほら見える。長い年月の間使っていたのだろう。ハンカチで包むくらいには大事に手に持っていたものに違いない。
 年期が窺えるそれは、きっと彼女の大事な物だ。
 ゆっくりと綾乃さんのハンカチの上にそのブローチを返して、笑いかける。
「気にしないで構わないからさ」
「で、でもっ」
「第一、路銀がないと言ってる人から、金品取り上げるほど人間止めてないんでね。あと、このまま追い出すほど人間止めてないから。気にしないで泊まって いって良いよ」
 これは譲らない。もう時間が遅いのだ。このまま出て行ってお金の無い綾乃さんが、どうやって今晩過ごすか考えたら、追い出すことなどできはしなかった。
 まあ、誰も反対はしないだろう。
 私は軽い気持ちで、そのことを一人で決めてしまった。
「お兄さんは、甘い人ですよね」
「ああ、良く言われる。そういうのが駄目なのかな。厳しく父親らしくすれば、あの子達も私を家族だと認めてくれるのかな……」
 つい、漏れてしまう悩みの種。
 それに綾乃さんは迎えのソファーにちょこんと座ってこちらを見据える。
「そうえば、名前を聞いていません。結花さんと勇治さん。お二人はもう分かっているのに、お兄さんだけは知らないんですよ。後年齢も」
 くすりと笑っていってくる。
「ああ、そうだった。私は亜島 宗一郎。二十八歳だ」
「じゃあ、宗一郎さんですね。年上さんだったんですねー」
 にぱっと笑う。邪気の無い笑みなのだが、その呼び方には何故か抵抗を感じた。
「呼び捨てで良いよ。というか、そうして欲しい」
「それは失礼ですよ。宗一郎さんだって、綾乃さんって呼んでるじゃないですか」
「……まあ、それはそうだけど」
「…………わかりました。宗一郎。ですね」
 そうしてもらえると助かる。私は内心ホッとした。
 その呼ばれ方に、そんなに抵抗を感じるとは思いもしなかった。
 情けないな。何処まで引き摺る気なんだ、私は。
「勇治さんと、結花さんは、宗一郎の子供なのですよね?」
「……まあ、そういうことになっている。見てわかると思うけど、血は繋がってない」
「はい。流石に年齢的に問題がありますしね。ギネスブックの更新でもしない限り。まあそれはそれとして、複雑な家庭環境みたいですね」
「年齢的に近いことに問題があるのか、それとも私が父親として納得のできる立場ではないのか……」
「宗一郎の性格や人柄に問題があるとは、私は思えないんです。簡単に嫌えるような憎たらしい性格、と言う訳じゃないですから。だから理由があると思うんで す」
 たしかに。だが、その理由がわからないのだ。
「心当たりが無い、という顔をしていますね。多分、宗一郎の視点からでは分からない物なんですよ。二人の立場。そこから考えることが重要です」
「……たしかに」
「だからここは、二人の立場、というのは不可能だとしても、客観視できる第三の視点は用意できます」
「第三の視点?」
 綾乃さんはゆっくり自分を指差して笑った。
 なるほど、話せというのか……。
「一湯一飯の恩義です」
「新しい言葉だなー」
 顔を見合わせて笑う。
 たしかに、彼女は子供ではない。当ての無い旅だと言っていたが、何か理由があるのだろう。そんな無責任な人には見えなかったから。
 彼女から見たら、もしかしたら分かるかもしれない。
 だから、話してみよう。
「……少し長い話になると思う」
「……えっと、聞きます」
「聞き終えたら、日が昇ってるかも」
「……あ、それって、泊まれって言ってますね。暗に」
「まあ、そうとって頂いて結構。遅い時間に女性を外に追い出すほど、私は人間やめてないんでね」
 彼女は両手を挙げて笑った。降参の意味だろう。
「負けました。今宵は泊まらせていただきますよ。では、話を聞きます」
 ああ……――――、長い話を始めることになる。
 でも多分、その九割ほどは、本題には関係のない、私の惚気話かもしれない。
 愚かな、無駄に愚かな男の話かもしれない。
 でもまあ……、たまには吐き出さないと、私も倒れそうだったから、ぶちまけようと思った。

        ●

「おはよう。お、今日はパン食か」
 寒いのだろう、どてらを頭の上までかぶって震えている結花がいた。
 結花は食パンを何も付けずにもふもふと食べている。
「おはよう父さん。なに、リビングで寝てたの?」
 というか、一晩本当に語り明かした。流石に眠い。
「まあな。えっと、勇治は?」
「さっき起きてトイレ行ってた。戻ってくると思うよ、直ぐに」 
 行ってる傍から勇治がキッチンへ入ってきた。だがすぐさま回れ右をして去ろうとする。
「まてまて、勇治、頼む少し話を聞いてくれないか」
 引きとめられてこちらを向く勇治。
「わたし、上行っとく?」
「いや、結花もここに。……えっと、綾乃さん」
 はいー、と気軽な返事を返して、キッチンに入ってくる二十五歳のチビッコ。
 言っても無いのにこちらを睨む綾乃さん。
 いあいあ、すみません。
「なんと言えば良いか……、今日からここに住むことになった林咲綾乃さんだ」
 ピンと彼女は姿勢を正し、頭を下げる。  
 降ろした速度と同じ速度で顔を上げて、
「今日からこちらに居候させてもらうことになった、林咲綾乃です、宜しくおねがいします!」
 ニッコリ笑う彼女に、勇治と結花は硬直した。完全に硬直した。
 石化したように止まっている。
「……は?」
 先に声をあげたのは、復帰した結花だった。
「ちなみに彼女は信じられないだろうけど二十五歳だ」
「……へ?」
 ありえない言葉を聞いたように結花がさらに声を上げる。
「勇治、構わないか?」
「……別に、好きにすれば良い」
 そう言って去って行く。一応言質は取った……ことになるのだろうか。
「結花は?」
「……父さんが決めたなら、別に文句は無い。ちょっと住まわせるだけなんでしょ?」
 ギリギリ精神を保って言葉を発する結花。
 その言葉に私は頷いた。
 昨晩綾乃さんと交わした契約。
 結局長く話したと言うのに、結論が出なかったため、少し二人を見たいと言った綾乃さん。
 だから私は、その間家に住んでも良いという契約。
 私の手助けをしてくれるのだから、十分な見返りだと押したら、何とか頷いてくれた、と言う所だった。
「それならいいわよ。ああ、私勉強とかしてるから、余り煩くしないでね」
「うん。大学受験よね、がんばって」
 サラリと綾乃さんは返すが、なんだか納得のいかない顔で結花はそれでも下がっていった。
「おっし、これで二人に認めさせた」
「なんだか不機嫌そうな顔でしたけどね」
 苦笑しながら綾乃さんは言った。
「……じゃ、今日から宜しく綾乃さん」
「こちらこそ、住まわせてくれて感謝します、宗一郎」
 そう言ってお互いの拳を突き出しあって叩いた。

 
 新たな生活が始まる。
 誰が何処からどう見ても歪な家族。
 魚も跳ねない静かな湖に、ちょっとした小石が投げかけられる。
 広がる波紋……。
 それが吉と出るか凶と出るか、それは今はまだ分からなかったが――――。


……

亜島家の人々・収録後……楽屋裏にて。
作者&綾乃


「お疲れ様でしたっ。どうでしたでしょう私の活躍はッ!」
●まだ何もしてない様な気がするんだけど?


「ま、まあ確かに。でも次回は頑張りますッ!」 
●じゃ、とりあえず、第一回のあとがきは、綾乃たんの自己紹介。宜しく。


「ええ!? 自己紹介!? と言うか主役の宗一郎無視して、一足飛びで私!? トラウマを晒せと言うのですか!?」
●晒せb 晒さないと次回から出番無し。


「…………ありえないほど横暴ね……。メインキャラでしょ、私って……まあ良いわ。ええっと……、なになに(←渡されたカンペ手に取る) 身長……ひゃく ごじゅういち……。

初っ端からなにか、私の心の奥底で紐が切れる音が響いたんだけど」
●……いや、そんな青筋立ててこちらを睨まれても……。君の容姿はインパクト狙いだし。


「インパクトで人の人生狂わせないでよッ。まあいいわ、体重は 三十五? まあ、普通かな。性格は、兄の 真似をして、エセ敬語で猫を被る。……違うわよ、単に兄さんが恐いだけなんだからさ。

…… えっとそれで……、何これ?」
●ああ、ニート?


「ええニート…… ? 」
●そのままの意味だけど? 働いていないんだし。


「……せめてフリータにしてッ! …………で、年齢二十五歳だ けど、身体の小さいことにコンプレックスを抱きつつ、だが、その反面そのことを利用し、若作りな雰囲気を醸し出して、時折小学生の振りをして、子ども料金 で公共施設を使用する!? してないわよ!?」
●二十五歳なのになぁ〜? ホント、節操がりませんなぁ。 


「……なんか言った?」
●いえ何でも……。なんだか危ないモーニングスターを治めてください、綾乃お嬢様。


「こほん。まあ、次回も頑張っていきますので、皆さん見捨てな いでねー。それでは、また……えっと、四日後くらい?」
●ま、作者次第でしょ?


「アンタでしょうが……ッ」
●うむ。まあ、ストックは八話まであるから安心。
「信じて良いのね?」
●…………信じる物は救われない〜。


「待てコラッ! ……って、また次回逢いましょう〜〜〜!」

               了




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