紙吹雪の乱舞。
 紙とは、敵のことである……ッ!
 その紙一枚一枚に対してペンで斬りつけていく、一人の英雄が居た。
 …………まあ、とりあえず補足すると、此処は私と昴日先生の研究室であり、今烈火の如く働きを見せている英雄は、当然勇治である。
 私の仕事は手伝わなくて良いと言っているので、今やっている仕事は全て昴日先生の書類などだ。
「わー勇治君、凄いですー」
 ぱんぱんと手を叩きながら、勇治の働きぶりに感心する昴日先生。
「頼む……仕事をしてくれ」 
「それは私も思った……。昴日先生、自分の仕事はちゃんとしましょう」
「ええっ!? で、でも……ちゃんとアルバイト代も払ってますし……」
 それは知ってる。しかもかなり羽振りが良い。正直そこら辺で働くよりも給料が良いと、勇治は何度か呟いていた。
「だからと言って、これからずっと勇治が手伝ってくれるわけじゃないでしょう? いつか一人立ちしなければならないんです」
 ……今私、一人立ちという台詞を使ったが、一体どっちが一人立ちなのだろう……。
「……うぅぅ、……勇治君、これからもずっと私といっしょに働いてくれませんかーーー!」
 勇治の袖を掴んで、迷子の子供か、親に何かをおねだりする様な感じで言う昴日先生。 
 ああ、やっぱ一人立ちするべきなのは先生か……。
「いや、キッパリとお断りする」
 冷たく言い放った勇治の言葉に、昴日先生は轟沈。机の上に頭を倒れこませて、横顔に涙を浮かべながらうめき始めた。
「ま、勇治の手際が良い事は認めますけどね、私としても一生アルバイトをさせる、というわけにも行きませんし」
「俺、そんなに手際良いか? 思ったんだが、そっちの方、手伝わなくても良いくらいスムーズに進んでいるじゃないか」
 未だに、どこか父さん、という言葉を避けている勇治だが、昔より断然話し掛けてくれるようになっている。
「いやいや、私は前に徹夜でややこしいのは全て終らしたからな」
「そういうとき、呼べよ。また倒れられたら鬱陶しいからな」
 言い方はぶっきらぼうだが、言葉に優しさが篭められている。
 ああ、嬉しい。
「でもまあ、勇治は昴日先生の給料で味を占めているからな。下手に雇えない」
「なに言ってるんだよ、父親の手伝いするのに、金なんて取るかよ」
 …………。
「勇治ぃ〜〜〜〜!」
 感極まった私は、思わず勇治に抱きついてしまった。
「うわッ! なにするんだよ! 仕事、さっさと仕事しやがれ!」
 ガスガスと頭を叩かれ、ペンで突き刺したりされるが私は離れない。
「何を言ってるんだ、こんな嬉しいこと、身体で表現しなければ収まらないッ!」
「此処はこんなんばっかりかーーー!! ていッ!」
 グワンッと、視界が円転し、一瞬昴日先生の顔が見えた。
「綾乃さん直伝の一本背負いだ」
「…………いきなり投げるか、普通……がくッ」
「あうー亜島先生、重いですー」
 大体、大学での生活はそんな感じだった。


 「血は汚いと、誰かが言った」

 

 雨が降っていた。
 ここらの土地は、冬はあまり雪は降らず、どちらかと言うと雨が多い。
 私としては、やっぱり雪が降って欲しいのだが、あまりお目にかかれないのが残念だ。
「雨か……。どうする?」
「折りたたみ傘がある」
 何時でも何処でも出てくる折り畳み傘。
「…………相い傘は嫌だと、前に言ったよな?」
 えーーッ! と、私は不満そうな顔を勇治に向けるが、息子は全く取り合わない。
「俺は走って帰るから、そっちはゆっくり帰って来いよ。綾乃さんと晩御飯の準備しておいてやる」
「…………駄目だ、これはやっぱり勇治が傘に入って帰るべきなんだ。父親として、息子をこんな寒い雨の中、走ってかえらさせるわけには行かない!」
 と言って私は以前と同じように、勇治に傘を押し付けて走り出した。
「お、おいッ! 待てよ! ああもうくそ、このバカオヤジがー!」
 あははっ、バカオヤジだって。バカが付いていても嬉しい物だなー。 
 私は嬉しくなり全力で雨の中を走り抜ける。
 商店街を走りぬけ、以前勇治と別れた時にも来た、綾乃さんとであった公園でまたも停止。
 流石に家まで全力で走り抜けるのは不可能だった。
 もう若くないなぁ〜。
 結花と一緒に、少年野球チームにでも入れてもらおうか。
 休日も身体が動かせて良いかもしれない。
 ふう、と一息ついて公園を見渡す。
 すると既視感――――。
 目の前に、よたよたと歩く人影一つ。
 綾乃さんと同じように倒れる。
 ……いやいや、まてまて、あまりにも出来すぎでしょうがそれは……。
 思いながらも私はその人影に近付く。
 重そうなリュックまで一緒だ。
 だが、その人は男の子。
「ああ、ボク、もう死ぬんですか? そうですか……」
「いやいや、いきなり諦めないでくれ……」
 またも私は、依然と同じようにトイレ入り口の屋根のある場所まで引き摺る。
「おぉーい、大丈夫かい?」
「ふへ? あ、はい、だいじょーぶでーす」
 これも以前と同じように、腹部で固定しているリュックの金具を外して、その重みから開放してやる。
 二度目だからか手際よく出来た。
「立てるかい?」
「……むりーそーですー」
「……やっぱりか。君は、あれか、家出とか? 行く当てとかあるのかな?」
「ええっと、一応当面の目的は、ある人に会いに行くことなのですが……。親切なお方、この辺りで、亜島勇治さんという名前の人、知りませんか〜?」
 ほへほへと何だ何時気絶してもおかしくないような口調で、少年はうわごとの様に呟く。
 ……しかし、勇治?
 何だこの子、勇治の知り合いなのか。
 でもあまりにも綾乃さんと同じ事を再現してくれたな……。
 もしかして、姉弟とか?
 …………あはは、そんなわけないか。
 とりあえず、私はリュックを前にかけて、少年はその背に背負う。
 以前と同じ。
「また、変なものを拾ったなぁ……」
 さて、走るか――――。
 
        ●

「ぜーはーっ、ぜーはーっ……た、ただいま……」
「あ、お帰り。……って、父さん、なにそれ、また?」
「そう、また、だ」
 結花が呆れたような顔で、私の背中に背負われている少年を見つめた。
「……父さん、言っとくけど家はね?」
「あーごめん、分かっているんだが、この子は勇治に用事があるそうなんだ。勇治、帰ってきてるか?」
「勇治に? そうなんだ。えっと、勇治ならさっき帰って来たよ。今はキッチンで料理中」
「綾乃さんと?」
 玄関の横に目線を向けると、私の折りたたみの傘が濡れているので、乾かす為に立てかけられている。
 使ったんだ。勇治。
 それに何故か笑みが浮かぶ私。
「ううん、綾乃さんはちょっと買い物。足りない物があったんだってさ。とりあえず降ろしなさいよ」
「ああ、そうだったな」
 リュックを玄関口に下ろし、少年を担いでリビングへ。
 結花が以前と同じように結花にバスタオルを引いて、私はその上に少年を寝かせた。
「勇治、呼んできて欲しい」
「おっけ」
 リビングからキッチンへ向かう結花を見送って、とりあえず軽く顔を拭いてやる。
「おおーい、起きてくれないかな?」
 無反応。とりあえず死んでいないことは、息をしているから確認出来るのだが、なんだか不安だ。
「呼んだか?」
「ああ、勇治。この子なんだが、知り合いか?」
「知らない。つか、風呂入れ風呂。ずぶ濡れじゃないか……ったく、近くのコンビニで傘買えば良いだけだろうが……。もう沸いてるから、さっさと入れよ」
「いやいや、風呂は入るのだが……。知らないのか? この子のこと」
「しらねー…………いや、知ってる。この間会った奴だ」
「この子が、お前に用事があるみたいだったから連れてきたんだが……」
「俺に? なんだろ。まあいいや、それより風呂入れ。さっさと入って体を温めて来い。今度風邪引いても、粥とかつくってやらねーぞ」
 それは恐い。さっさと入ることにしよう。
「結花は?」
「二階。これの事は俺が何とかしておくから、さっさと入れって」
「あ、ああ」
 なんだかこの場に居て欲しくないような言い方をされて、私はリビングから追い出されることになった。
 しかし、なんだろう。
 勇治の記憶力は高いほうだから、多分あの少年の方が記憶に薄い存在なんだろうと思うのだが。
 湯に浸りながら思考続行。
 というか、リビングの会話を聞くために耳を開放する。
『おい、起きろ』
『ううん……』
『起きろって言ってるだろ』
 ゴスッ。
 いや、勇治、今叩いただろう……?
『はう!? あ、あれ、ここは…………。あ、亜島勇治さん!』
『何か用なのか?』
『あ、はいっ! この度はお礼が言いたくて馳せ参じた次第であります!』
 礼……?
『礼って、アレのことか? 気にしなくて、良いんだぞ?』  
 どこか困惑したような口調。勇治のアレは恥じている口調だ。 
『いえ、ちゃんとしたお礼も言えず、助けてもらったばかりか、警察に補導される勇治さんを弁明することも出来ずに、ただ気絶していたボクです。しっかりと お礼の一つも伝えておきたいと、疾く参上した次第です! 本来ならあの程度の手合い、一人でも何とかなるものだったのですが、如何せん空腹であった為、遅 れをとってしまい、お手数をかけてしまいました。本当に申し訳なく思います!』
 丁寧な口調の子だなー。
 ま、なるほど、事実関係は理解できた。
 この間の暴力事件に関係する子なのだろう。
 勇治のことだ、あの少年を助けるために拳を振るったのだ。
『聞けば、その事が原因で学校にまで連絡が行き、アルバイトまで止めざるを得ない状態にしてしまったそうで。全てボクに責任がございます! ですので、何 かお礼などをしたいと思います!』
 良く調べたなぁ……。学校にまでいったのだろうか。
『だから良いって。そんな事は気にしないで良い。とりあえず、風呂に入って飯食ったら帰ってくれてもかまわない。お礼の言葉は聞いた。それで良いだろ う?』
『駄目です! それではボクの気が納まりません!』 
『……ふう。じゃあ、一つ』
『なんでしょう!』
『此処に俺の家族がいるが、誰一人にも、この間の夜の事は秘密。それを守れるなら居ても良い』
「……ぷっ……あははは!」
 私は思わず笑ってしまう。勇治は本当に恥ずかしがりやだなー。
 良いことをしても、それに対してお礼を言われたり、皆から褒められたりするのが苦手。
 本当に可愛い。
 自慢の息子だ。うん。
『そ、それだけですか……?』
『後は好きなように、納得の行くまで居れば良いさ。俺からは特に、して欲しいことなどはないからな』
『そうですか……。で、では! ボクは納得がいくまでこの家で働かせてもらっても宜しいでしょうか!』
『あーはいはい、良いですよ。あ、でも、一応父さんと、姉ちゃんにも話を通してもらわないとな』
 あと、綾乃さんも。
 綾乃さん……そう言えば、何時まで居てもらえるんだろう。
 なんと言うか……、……いや、考えないでおこう。
 もし出て行くといったなら、引き止める権利は私にはないのだから。
『そう言えば、お前名前なんて言うんだ?』
『はいっ、林咲幸太と言います!』
 …………――――!?
『な……ッ!?』「に……ッ!?」 
 私と勇治の言葉が繋がる。
 驚いた私はバスタブから抜け出て、高速で身体を拭いて、服を着替えてリビングへ直行した。
 林咲なんて珍しい名字はあまり無いと思う。
 疑う余地なんて無い。
 綾乃さんの関係者だ……!
 リビングに踏み入ると、勇治は未だに絶句しているのか、停止している。
 その勇治の顔に疑問符を浮かべる少年……幸太君が居た。

        ●

 リビングで綾乃さんは呆然としていた。
 丁度幸太君をお風呂に入れたとき、綾乃さんが帰ってきて、幸太君が来ていると伝えたのだ。
 その瞬間の顔がこれ。
 笑い出す瞬間のような顔で硬直している。
「嘘」
「嘘じゃないよ。今お風呂に入ってる」
「なんで……だって、私、ここの場所教えてないのに……」
 やっぱり綾乃さんの関係者だったようだ。
 綾乃さんは考えるように目を瞑って、うんうんと唸り始める。
「あの子は、やっぱり綾乃さんの……?」
 弟さん? と言わずに目線で聞いてみる。
「え? ああ、うん。まさか探しに来てるとは思わなかった……。あまり家から出ない人なんだけどなぁ」
「探しに来たかどうかは分からないよ。まあ、格好からして、綾乃さんと同じようなことしてる気はするんだけど」
 でっかいリュックを思い出す。
「だけど、此処に来たのはたまたま偶然で。なんでも、絡まれてる所を勇治が助けて、そのお礼に、という感じらしい」
「……、立ち聞きしてたのか?」
 背後から殺気にも似た気配を発して立っている勇治。
「うわぉ!? ゆ、勇治、晩御飯作ってたんじゃないのか……ッ!?」
「もう出来てるよ。……ったく、アンタ、何時からそんな悪趣味になったんだ?」
「た、たまたま聞こえたんだよっ、うん、あははー!」
 頭を掻きながらとぼけて見せるが、白い目でこちらを見る勇治。
「勇治。あの人を助けてくれたの?」
「成り行きだよ。綾乃さんの弟だってしらなかったしさ。絡んでいた場所が、俺のバイトの荷物搬入の入り口だったんで、邪魔だったんだ。それで」
 顔を反らして勇治は言う。何故か綾乃さんは勇治の言葉に首を傾げている。何か変だったかな? 勇治の言葉。
 それにしても、弱いものイジメをほうっておけない我息子。
 ああ、ご近所様に自慢しようか!
「なあ、今とてつもなく嫌なこと考えてないか?」
 最近息子が鋭きなってきてます、子鈴さん……。
「それでもまあ、勇治があの人を助けてくれたんだよね。ありがとう。それが無ければ停学にも成らなかったし、アルバイトも続けられたのに……。本当に御免 ね」
「だから……っ! いいやもう。今は前のアルバイトよりもっと実りのいいのにありつけたんだし、気にすることねぇよ。とりあえず、あの幸太っての、任せる からな」
 ひらひらと手を振ってソファーに座ってテレビを点ける勇治。後は知らない勝手にしてくれ、という意味なのだろう。
「本当、勇治って好意を向けられるのに弱いね?」
 笑いながら小声で私に言ってくる綾乃さんだが、その声はしっかり勇治の耳に届いて、じろり、と一瞬睨みつけられる。
「勇治、お腹すいた、御飯はー?」
 結花がリビングに顔を覗かせる。
 その言葉に勇治が私に目線を向ける。
 どうする? 
「先に二人で食べていて良い。とりあえず、食事は話を終えてからだ」
 幸太君が綾乃さんと会ってどうするか。それがまだ分からない。そんなことを気にしながら食事を取りたいとは思わない私だった。
 私の言葉に頷いて、
「まだ出来てない。上で待ってろ」
 ……勇治?
「ええ〜。久しぶりに料理して、手際悪くなってる? というかなんでテレビ見てるのよ。まったくもう、出来たら呼びなさいよー」
 結花が二階へ撤退する。
 なんでだ? と、私は勇治を見つめると、
「夕食は皆で食べると言う約束、アンタが言ったんだ」
 ふんっ、と腕を組んでテレビを見始めた。
 ……勇治ぃー。
「ああ、もう、宗一郎涙脆いんだから……」
 トントンと私の肩を叩きながら綾乃さん笑う。
 ああ、なんか情けないけど嬉しい。
「でも、本当に仲良くなってきてるよね……」 
 小さく呟く綾乃さん。ほんとに、良くなって来たな、私達家族は……。
「……で、どうするんだ? 幸太君、もうすぐお風呂から上がるけど」 
「どうしようね……」
 いつかしなければならない話。
 勇治も結花も、もう私と普通に話している。色々な理由があったにせよ、家族として一まとまりになろうとしている。
 つまり、綾乃さんの役目は終ったのだ。
 いつか考えなければ成らない事。
 綾乃さんはなにを考えているのか、少し俯き加減で黙っていた。
 幸太君がなにを思って、あんな重いリュックを持って歩いていたのか。
 それはまだ分からないが、もし、彼が綾乃さんを連れて帰るつもりで探していたのなら、…………どうだと言うんだろう。
 私は何も言えないよな。
 だけど、漠然とした不安は、心にあった。
 しかしどうして不安に思うのだ、私が。
「あやのさ……」「そういち……」 
 同時に顔を上げて同時に呼びかけてしまう。
「先にどうぞ」
「宗一郎からで良いよ」
 ……いや、といっても、私は実は別に言うことどないのだ。
 ただ、沈黙に耐えられなかっただけ。
 それはどうやら、綾乃さんも同じだったようで……。
 という事でまた、二人で沈黙してしまう。 
 するとバスルームから幸太君が出てくる気配を感じた。
 もうまもなく此処へ、彼がやってくる。綾乃さんを見てどういう反応をするか分からないけど、どうであれ、私は今酷く緊張している。
 無闇に心拍が上がっている。
 不思議だ……どうしてだろう。
「ありがとうございました。本当にいいお湯でし…………―――綾乃?」
 幸太君が綾乃さんに気がついたようだ。私は何故か振り返れず、綾乃さんの表情をじっと見つめる。
 綾乃さんが顔を上げて、
「あはは……おひさ〜」
 軽い挨拶をしてみた。おそらく様子見なのだろう。
 背後の気配は、一瞬絶句したように身体を硬直させているのだろう。
 丁度ニュースがCMに入り、勇治の視線がこちらに向く。
 きっかり二つ分のCMが流れた後、
「なにが“おひさ”ですか! ボク達がどれだけ心配したか、分かってるんですか!?」
 どか〜ん、という爆発が背後で起こった。
「ご、ごめんなさい!」
「ごめんなさいじゃないです! いいからそこに座りなさい。座ってますね。こほん。いいですか? 綾乃が出て行ったあと、家族全員心配して夜も眠れなかっ たんですよ!? あんな書置き一枚で出て行ってしまって、お母さんなんて倒れちゃったんですからね! 父さんが役に立たない体たらくで女手一人で頑張って くれた 母さんに、あんなに心配させて、連絡もなしに半年間! 一体何処をどうほっつき歩いた上、亜島勇治さんのお家にお邪魔してるんですか、綾乃は!」

 バンッと、机を叩く幸太君……いや、幸太さん。
 綾乃さんはそれに全身を硬直させて、背筋を正して軍人の様に返答。
「は、はい! その、路銀を無くして道端で倒れたところを助けていただき、その上、御飯を食べさせてもらった挙句、お風呂にまで入れてもらい、このままお 礼も無しに去るのはとても不人情だと思った次第であります!」
 いやもう、とてつもなく良く似ている姉弟ですね……。私は突っ込みたい気持ちをグッと押さえた。
 綾乃さんの初めの頃の口調が、少年の口調と一致している。多分、丁寧な所を真似て礼儀正しい感じを装っていたのだろう。
「ど、どこかで聞いた話ですね……。ま、まあいいでしょう」
 幸太さんはこちらに向き直り、丁寧に頭を下げる。
「この度は妹がとんだご迷惑をお掛けして、申し訳なく思います」
『妹!?』
 私と、テレビを見ている振りをしている勇治と、こっそりリビングを覗いてた結花の言葉が唱和した。
「い、妹って言うと、ようするにアレですか、後に生まれたと言うかなんというか」
「……まあ、その反応には慣れていますので……。間違いなくボクは、綾乃の兄です。兄妹共々、本当にご迷惑をお掛けしました」
「いえ、いえ……その、こちらも随分と助けてもらったので」
「その上更に申し訳ないと思うのですが、今すぐにでも綾乃を連れて帰りたいのです。家族一同心配していますから。お礼はいつか、勇治さんの件も含めてちゃ んと致しますので……」
「ちょ、ちょっとまって兄さん! 勝手に話を進め―――、」
「綾乃は黙っていなさい」
 ぴしゃりと、言い放って綾乃さんを黙らせる。有無を言わせない切捨て。
 強情な綾乃さんを、此処まで制御で切るのだ、この人、只者じゃないなと思った。
「第一、他人様の家にずっと居候しているつもりなのですか? 綾乃は」
「……それ、は」
「家賃は幾ら払ってるんです」
「……はらって、な―――」
 咄嗟に、
「毎月ちゃんと払ってもらってますよ」
 嘘を吐いてしまった。
 第一、毎月って、綾乃さんがこの家に着てから、まだ一ヶ月も経っていない……。その上何より、路銀が尽きたと綾乃さん自身がもう言っている。我ながら嘘 が下手だと思った。
 勇治がこちらを横目でチラリと見つる。結花はリビングに入ってきて、窓のを外眺めるようにしていたのだが、こちらの様子を見ているのは分かりきっている。
 一番驚いているのは綾乃さんだった。
 当然だよな……。なにやってるんだろう私。 
「そうなのですか」
「今月分も、ちゃんと入れてもらってますから、そのぉ……」 
「今月一杯は、綾乃は此処にいるべきだ、と? そういうのですね?」
「……えっと、そういうことになりますかね。あははは……」
 幸太さんの目線が鋭い。正直な話、口調は丁寧だが、とても厳しい人なのだろうという事がわかった。多少ドジっぽいのだけど……。
「……わかりました。では綾乃、せめて家に連絡を入れなさい。それが条件です。そして今月末に家に帰りますよ。良いですね?」  
「はい」 
 綾乃さんらしくない、消え去るように小さい声だった。

        ●

『おお……とても美味しいですね。勇治さんは料理の天才ですね。全くもう、うちの妹にも見習わせたいくらいです』
『綾乃さんの方が美味いよ』
『いえいえ、一番下の次女の事です』
 そんな会話が耳に入ってくる。どうやら問題は無さそうだ。
 勇治の心使いを無碍にして、私は今、綾乃さんと一緒に自室に居る。彼女は実家に連絡をとった後、この部屋に逃げてくるようにやってきた。
 結花も夕食を食べていることだろう。
 本当に悪いと思った。
 だけど、そのことを提案してきたのは、勇治自身だった。
 こちらに時間をくれたのだろう。
 だけど、どうすれば良いか、まだハッキリしない。
「宗一郎は、どうして、あんな嘘を……?」
 家賃の事だろう。
「あはは、何でだろう。咄嗟にだったから……」
 はぐらかした。
「考えもなしに言ったわけ?」
「そういうことに、なるかな」
「…………お人よし」
「生まれ持った物なんでね、どうしようもないよ」
 綾乃さんは足を両手で抱え込んで、部屋の壁にもたれ掛かる。私はいつも家で仕事をする時に使う机の椅子に座いた。
「あの人……兄さんは、実は凄く恐くてね。……家って道場とかやっててね、兄さんは小説家なんてしつつも、内の家の中で一番強い人で、昔からずっと仕込ま れたから逆らえないと言うか……」
 なるほど、だからあれほどの過剰反応をしたのか。
「あの人が恐いから逃げてきた〜……と言う訳じゃないんだよね?」  
「あはは、そんな情けない理由なら、私はさっさと帰るべきなんだろうね。ねえ、宗一郎、ホントの事、教えて。どうしてあんな嘘を吐いたの?」
 今度ははぐらかす事など出来ない。
「綾乃さんが、帰りたく無さそうな顔をしていたからだよ」
 これが半分の事実。もう半分は、……正直私自身が認められない。認めては、成らない。
「そんな顔、してたかな?」
「してた」
「そっか……。そうだよね、実際帰りたくないって思ってた。でも、」
「でも?」
「……ううん。その、ありがとう。もう少しだけ甘えさせてもらうね。今月末までには、心の整理がつけられると思うから」
「綾乃さん……その、な」
 言葉に詰る。
 こんなこと言って良いのかどうか、迷う。
「なに?」
「……いや、なんでもない。夕食、食べに行こう。久しぶりの勇治の御飯だ」
「そうだね」
 同時に立ち上がって部屋を出て、揃ってキッチンへ歩いていく。
「勇治、私たちも御飯を―――」
 勇治は私を見て直ぐに、炊飯器を開けて、中を見せた。
 からっぽだった。
「すまない。壊滅だ」
「…………すみません。あまりに美味しいので……つい」
「そっくりね、綾乃さんと。さすが兄妹って所かしら」
 呆れる結花に、幸太さんはどんどん小さくなる。このギャップが色々狂わせる。
 身内には厳しく、他人に対してはとことん幸太さんは弱かった。
「直ぐに炊くから、リビングで待ってな」
「わかった。じゃあ綾乃さ―――」
「あ、ちょっとまって」
 結花だ。
「綾乃さんに話があるの。私の部屋に来て」
「え? うん、いいけど」
 ジッと私を見つめる。頷いてみせると、綾乃さんは結花に頷いて二階へ移動した。
 その私と綾乃さんのやり取りと、幸太さんはじっと見ていた。
「……なにか?」
「いえ。綾乃が決定権を委ねるのが珍しいので、少し驚いていました。あ、勇治さん、ごちそうさまです」
「いや、良いよ。……そうそう、あのさ、」
「はい?」
 幸太さんに向かって勇治は完全にタメ口だ。というか、敵視しているに近い口調になっている様な気がするのは気のせいだろうか……。
「さっきの約束一つ、父さんにもう知られてしまったから無効なんだよな。だから、このまま黙って一人で出て行って欲しいと言ったら、出て行ってくれる か?」
「……ゆ、勇治?」
「それは、ボクが邪魔だと言ってるんですよね……。すみません、その願いは聞き入れられません。出て行くときは二人、綾乃も連れて帰ります」 
 申し訳無さそうに幸太さんは言い、勇治の鋭い目つきを真っ直ぐに受け止めた。
「……そか、ならしかたねぇな。父さん、この人綾乃さんより強情みたいだ」
 なるほど。
「御飯が出来るまで、少し散歩へ行って来るよ。直ぐ帰ってくる」
 頭を冷やしたくなった私は、そう勇治に伝えてキッチンから出た。
「ボクも随伴しても宜しいですか?」
 随伴……って、ああ、ついて来るって事か。
「構いませんよ」
 本当は一人で考えたかったが、幸太さんから何か話が聞けるかもしれない。
 私に出来ることは、出来るだけより良い結果を導き出すこと。
 私の家族を救ってくれた綾乃さんに、良い環境で居てもらいたいから、そのためにはどうするか、一人で考えるより幸太さんの話を聞いてみた方が良いかも知 れないとも思った。
 
        ●

 夜の川原。
 此処に来るまで一言も話さなかった。
 何を言えば良いか分からなかったからだ。
 だから、先に口火を切ったのは幸太さんだった。
「あの子は、亜島さんの家で、笑いましたか?」
「ええ、良く。楽しい人ですから」
「そのようですね。……本当、憑き物が落ちたように、明るい綾乃だったので、驚きましたよ」 
 憑き物が落ちたような?
 私の疑問の顔に、幸太さんは回答を寄越す。
「酷く落ち込んで、部屋に篭もっていたんですよ。ずっと。そしてある日家出……。ボクもまあ、仕事が仕事なので、時間もありましたし探し回りましたよ。人 伝に話を聞いて、ようやく見つけたのに、あの子はこちらの苦労も知らずに笑って過ごしてしました。流石のボクも怒っちゃいましたよ」  
 多大な心配をかけてそれなら、確かに誰だって怒るかもしれない。
「ご迷惑だったでしょう?」
「いいえ。寧ろ、来てくれて感謝しているのはこっちなんですよ」
「……感謝?」
「綾乃さんは、私を救ってくれたようなものなんです。……我が家、お恥ずかしいことに、あまり良い家庭じゃなかったんです。勇治も、結花も、綾乃さんが来 た時は殆ど話してない感じで、家族という感じなんて、全然なくって……」
「結花さんとはそれほど話してませんが、勇治さんはとても良い人だと思いましたよ? それなのに……?」
「勇治も結花も、自慢の娘と息子ですよ」
 ふむ、と幸太さんが顎に手を当てて考える。
「疑問に思ったことひとつ宜しいですか?」
「ええ、なんでしょう?」
「あのお二人は、本当に亜島さんのご子息?」
「そうですよ。血は繋がってませんが、間違いなく私の大事な娘と息子です」
「……そうなのですか」
 複雑な事情を察したのか、幸太さんは一拍置いて続けるようにこちらに目線で言ってくる。
「それで……、綾乃さんは家族三人の中を取り持ってくれたんです。色々してもらいました。今の亜島家は、間違いなく綾乃さんのおかげで成り立っています」
「……亜島さんは、あの子のことをどう思っているんです? 嘘を吐いてまで引きとめて」
「ばれてましたか」
「ばれますよ。あの子、不器用だから、家事などは得意ですが、どこかで働くのとかは苦手ですし。路銀が尽きたといってるのに、家賃が払える道理も無いで す」
「ですよねぇ。我ながら出来の悪い嘘だと思いましたよ。でも、救ってもらい、助けてもらったのは事実です」
「それは疑っていません。目を見ていればわかりますから。あの子が頑張ったというのは、よく分かりました。それで、亜島さんは、これから先もあの子に家に 居て欲しいと、思っているわけですか?」
 それも、ある、だけど……、
「綾乃さんがあの時、連れて帰ると言われた時、凄く辛そうだったんですよ。それは、幸太さんの目から見ても分かったんじゃないんですか?」
「分かっていましたよ。その程度見抜けないで、兄は出来ません。ですが、辛そうだからと言って、永遠に逃げるわけには行かないんです。血は汚い物で す……。そう簡単に、家族の縁は切ることなど出来ませんよ」
 ああ、全部分かっていて……その質問に立ち戻るわけか……。
 すなわち、
「亜島さん、あの子のことをどう思っているんですか?」
 その問いに。
 なんと答えれば良いだろう。
 良い答えも見つからず、私は咄嗟に浮かんだ言葉をそのまま述べた……。
「恩人だと思っています」
 だが、本当の本心は別にある。しかしその本心は、多分私は一生外に出せないだろうな。
「恩人、で、それだけですね?」
「……はい」
「ならば連れて帰りますが、異存はありませんか? 亜島さんが家の妹を恩人だとは言っても、長い間こちらもご迷惑をお掛けしたんです。それでお相子とな るはずですから」
「……私には、引き止める権利も、何も無いので……」
 綾乃さん次第だ。
 ……次第。
 本当にそうなのかな……。  
 幸太さんが私を見て、大きく溜息を吐いた。
「そろそろ帰りますか。御飯が炊けているかも知れませんし」
「ええ。そうしましょう」  

        ●

「亜島さんが、綾乃を連れて帰ることに異存は無いと、言ってくれました」
 家に帰って夕食を終え、リビングで謎の沈黙を続けていた私達に、幸太さんは直球で伝えた。
 何も今、そんなこと言わなくても……。
 勇治は変わらずテレビを見つめ、結花も無反応。
 綾乃さんだけは私の顔を見つめて、何故かとても悲しそう。
「だから、明日、帰ることにします。この度のお礼は必ず、近いうちに致します」
「あの、兄さん。私……、」
 ジッと幸太さんに見つめられて、綾乃さんは言葉に詰るが続ける。
「帰らない」
「帰らない、というだけでボクが引き下がるとでも? 理由は? なぜ? この家の人たちに迷惑がかかるとは思わないんですか? そして、何時までも逃げて いるつもりですか?」
「理由……は……、」
 俯き加減の綾乃さんが、必死に言葉を探している。
 私は、助け舟すら出せない。
 だが、別の場所から救いの手は出された。
「少なくとも迷惑じゃない。綾乃さんの料理は美味いし、いつも参考にしている」
「私もだよ。迷惑なんかじゃない。父さんは?」
 勇治……結花……。
「……もちろん私も、迷惑じゃない。だがしかし―――、」
「はいはい、父さんの意見は却下ね。そんで、林咲さん。今ので、迷惑と言うのと、何故? という部分は消えたわよね?」
「ええ、そうですね」
「なら理由と、そしてもう一つ、何時までも逃げている、と言う所に焦点が行くわよね?」
 結花が一つ一つ整然と話を纏めてゆく。
「はい」
「理由って、それほど重要じゃないと思うのね? だって、迷惑じゃないって言ってるんだし。じゃあ、最後のひとつ、何時までも逃げている、と言う所。逃げ て何か悪いの?」
 ピクンと身体が震える綾乃さん。
「誰だって時間が欲しい時がある。家族ならその辺りを考えるべきなんじゃない? この家の父親である、そこの人は、その辺りではとても凄いわよ。ずっと 待ってる。確かに逃げかもしれないけど、時間が経てば癒せるなら、待つべきなんじゃないかしら? それで、この場所がそれに適していると私は思っている。 そういう自信もある」
「ゆ、か……」
 泣きそうな顔で綾乃さんは結花を見つめて名を呼んだ。
「家族ならば、甘やかすだけでは駄目なのですよ。厳しくしつけなければ成らないこともあります。何よりもう、綾乃は半年以上時間を与えられ、家族に迷惑を 掛け続けています」
「ふんっ。たった半年ぽっちじゃない。こっちは三年だもんね。私が言うのも変だけど、三年間も心配を掛け続けたわ」
「あなたは、それを、いけないことだと思わなかったんですか? どれだけ相手を心配させたか、知っているんですか?」
「思ったわ。知ってる。気がついた。こんな不肖な娘でもね、ちゃんと気がつけるの。それで、あなたの妹さんって、その程度の事もずっと気がつかない子だ と、あなたは思っているわけ?」
 強く睨みつける結花の瞳を、真正面から受け止める幸太さん。
「それに、私だって苦しみ続けた。勇治だって苦しんでいた。私たちの父さんはそれを理解してくれ、受け止めてくれた。それを理解もしないで、ただ帰って来 い、連れて帰る? それでよく兄貴だとか、家族だとか言えたものね」
「あなた達は家族ではないのでしょう? 戸籍上の上だけで、血の繋がらない。ボクと綾乃は間違い無く家族なのです。だからこそ……」
「ちょっと待ておま―――、」
 勇治が爆発する前に私が手で止めた。
 幸太さんは悪い人ではない。何より綾乃さんを心配しているのは分かる。
 そして、考え方がこちら側と、幸太さんとで違うが故、こうやって言い合いが始まった。
 だがしかし、
「血が繋がらない、がなんですか?」
 その言葉だけは間違っている。否定してもらいたい。
「先ほど幸太さんは外で、血は汚い、と言いましたね。確かに、血は汚いですよ。他人なら簡単に関係を切れてしまい、血が繋がっているからかこそ簡単には切 れないが故、汚いという表現をする。しかし、私達は血が繋がらない他人同士でも、間違い無く家族です。繋がらないという理由で、家族じゃないから、自分た ちとは違うんだという言い方を、否定してもらいたい。結花の今の話は全て、血が繋がっていようといまいと、家族に対する考えを述べています。一片の間違い も含まれていません。だから否定してください」
「では、ボクが間違っていると?」
 私は首を振った。
「血の話だけが間違っているだけですよ。他は、綾乃さんが心配だからこそ言っている言葉だと、私は信じています」
「……なら、あなたはどちらの考えに賛成ですか」
 全ての視線が私に集まっている。
 だけど、躊躇などしなかった。
「当然、結花の考えに」
 私は、その答えに一切の迷いなど無かった。



 ただこの答えが正しいかどうかはわからない。
 私は思う。
 正しいことなど、実際には無くて、ただ相手を思うが故に、違う価値感の上で争いが起こるのだと。
 それも一つの人の在り方。
 これが私の出来る精一杯。 
 後は、綾乃さん次第なのだった――――。
   

楽屋にて。

 
うふふ〜うふふ〜♪(←前回のショックから未だに立ち直れない綾乃さん。
 
どうするんだ?あれ。
 
え?どうもしないわよ?
 
身も蓋もないな。
 
それよりコレです!どうして怒った顔なんですか〜?!
 
怒った顔だけ増えたから怒っているのか?

違うんです!怒らないと新しいアイコン使えないから怒ってるんです!
 
さいで……。
 
そういう勇治も増えてるじゃない。シティー○ンターみたいなの。
 
その言い方も身も蓋もないな。いまいち伏字伏字に意味がないし。
 
鴉が必要でしょうか〜?
 
変な付属品つけないで……。
 
鴉可愛いのに……。
 
そだ、鴉アイコン作ってもらいましょう!
 
大きゃ〜〜〜っか!!!!
 
わひっ!?
 
お、煩いのが復活した。
 
誰が煩いか!
 
次こそ、次こそは私のアイコンを作って貰うの!
 
見込み薄そうだな〜
 
ハイ其処煩い。
 
というかどうして、父さんのアイコン一向に出来ないの。
 
運命かと。デスティニー
 
さらっといったわね脇役一号
 
わうん!? 一号!?
 
宗一郎に拘るわね〜
 
あ、当たり前でしょ。主人公なんだし。
 
宗一郎より私よ私!バンバン追加していってもらいたいの!
 
ふと思ったんだけれど、望んでない人の方が、アイコンの増えが言いと思わない?
 
…………なるほど。
 
私はアイコンが増えなくても良いです〜。現状に大満足です〜。
 
ふう、コレで煩いのが収まったわ。
 
変に扱いが上手くなってきてないか……?
 
いいのよコレで。続けて次回予告行くわよ。
 
あ、はい。
 
(やっぱり次回予告担当なのかな私……。
 
ええっと、問題の幸太さんの件解決いたします。この後はもう、ラストまで一直線という感じですね。
あと……えっと、なになに? 私の出番は、ありませ――――
 
――――。
 
ものの見事にないな……。仕方ない。コレも運命だ。
 
次回、 「そこにいて良い理由―――」ごきたいください。






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